第12回 九州縄文研究会 長崎県島原大会
●テーマ:九州の縄文墓制
●日時:2002年3月2日(土)・3日(日)
●会場:島原市文化会館
●大会趣旨:
九州縄文研究会では、第10回福岡大会の「九州の縄文住居」、第11回大会の「九州の縄文貝塚」に続き、第12回長崎大会では「九州の縄文墓制」というテーマで開催することになりました。
これまで九州における縄文墓制の研究は、貝塚や洞穴遺跡に代表される人骨が遺存する事例、あるいは土器棺墓(埋甕)を中心に研究が進められてきました。しかし、人骨は遺存するような特殊な条件の遺跡だけでは、縄文墓制の理解に十分でないことは言うまでもありません。また、実際に、こうした遺跡だけに墓が築かれたとは到底考えられず、多くの遺跡でこれまで注目されなかった、あるいは認識されなかった「墓」(土壙墓)が存在すると考えられます。
それを裏付けるように、近年、東日本はもちろん関西や山陰地方においても、土壙墓の検出事例が急増して研究も確実に進展しつつあります。一方九州においては、大規模な集落遺跡の調査事例が西日本の中にあっては傑出して多いものの、それらの集落遺跡では土器棺墓以外に「墓」の存在がほとんど知られていないのが現状です。九州においてもはたして土壙墓が存在するのか、するのならばどのような形態であり、また居住域との位置関係はどうなのか、といった多くの課題が存在しています。
そこで今回の長崎大会では、縄文遺跡で検出される墓の中でも、特に「土壙墓状」の遺構に注目した次第です。形態および規模から土壙墓と推測可能な資料を積極的に取り上げていくことは、縄文墓制を理解するうえで一度は取り組まなければならない必要不可欠な作業と考えます。
その結果、今回の資料集成が契機となり、調査段階においても土壙墓に対する認識が高まれば、今後の九州縄文文化研究に有意義な成果を残せると確信しています。
●発表者:
〔記念講演〕
・諌見富士郎(元長崎県立国見高校教諭)「島原半島の縄文文化研究」
〔遺跡調査報告〕
・金丸武司(田野町教育委員会)「宮崎県田野町本野原遺跡」
・塩地潤一(大分市教育委員会)「大分県大分市横尾遺跡」
〔墓制報告〕
・坂本嘉弘(大分県教育委員会)「九州の縄文墓制」
・山田康弘(島根大学)「土坑墓について」
●討論
司会:宮本一夫(九州大学)
パネリスト:坂本嘉弘(大分県教育委員会)
山田康弘(島根大学)
宮地聡一郎(福岡県教育委員会)
森田孝志(佐賀県立名護屋城博物館)
古門雅高(長崎県教育委員会)
池田朋生(熊本県教育委員会)
白岩修(宮崎県木城町教育委員会)
前迫亮一(鹿児島県教育委員会)
●各県報告の担当者
・福岡:宮地聡一郎(福岡県教育委員会)
・佐賀:森田孝志(佐賀県立名護屋城博物館)
・長崎:古門雅高(長崎県教育委員会)
・熊本:池田朋生(熊本県教育委員会)
・大分:坂本嘉弘(大分県教育委員会)
・宮崎:白岩修(宮崎県木城町教育委員会)
・鹿児島:前迫亮一(鹿児島県教育委員会)
九州縄文研究会事務局
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